「色の感じ方」研究会とは?

《「色の感じ方」研究会》は、いわゆる「色盲」(色覚異常、色弱、色覚障害、etc.)の当事者が中心となって運営する当事者研究会です。2019年2月、NPO法人カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)において、馬場靖人(早稲田大学招聘研究員〔当時〕)を発起人としてスタートし、同年3月、CUDOの事務所をお借りして第一回研究会を開催しました。同年5月以降は、早稲田大学戸山キャンパスに拠点を移し、引き続き活動しています。

「色の感じ方」研究会における「当事者」の定義

上記のように、「色の感じ方」研究会が研究会への主な参加者として想定しているのは、いわゆる「色盲」当事者ですが、研究会に参加できる「当事者」は、「色盲」や「色覚異常」や「色弱」といった既存の医学的診断名をもっている人にはかぎりません。そうではなく、本研究会では、「色彩にまつわる困りごとを抱えている人」を「当事者」と定義します。したがって、その困りごとさえもっていれば、いわゆる「正常色覚」や「多数派色覚」の人であろうと、あるいは「全色盲」の人であろうと、参加を拒むものではありません。むしろ、少数派の側の色彩経験の輪郭を明確にするためには、多数派や他の色覚特性をもつ人との比較が不可欠であると考えます。

「色の感じ方」研究会で研究する「困りごと」

本研究会が典型的な「困りごと」として想定しているのは、色彩について他者とやりとりする際に生じる困りごと(「色彩にまつわるディスコミュニケーション」)です。たとえば、多数派色覚の人が「ほら、あそこに赤い花があるよ」と言ったとき、少数派色覚の人には緑色に繁る葉しか見えないといったケース。「あのえんじ色の布を取ってきて」と指示されても、どれが「えんじ色」なのか、「えんじ色」とはどういう色を指すのかわからないといったケース。研究会では、あなたがそういったディスコミュニケーションに直面したときに、何を考え、どのように対処したかなど、過去の経験について具体的に自分の言葉で語っていただきます。 

「色の感じ方」研究会の当事者研究スタイル

当面のところは、先行の当事者研究会である「おとえもじて」のスタイルを踏襲して研究会を行っています。その最大の特徴は「言いっぱなし、聞きっぱなし」ルールです。これは、批判や意見を差しはさむことなく、参加者が自分の経験を語るにまかせるやり方です。本研究会では、このルールにしたがったうえで、下記の二つのミーティングを行います。

 

① テーマ研究

② 持ち込み当事者研究(仮)

 

①では、毎回設定されるテーマに沿って、参加者たちが順番に一人3分以内で自分の経験を語っていきます。

②では、事前に発表を希望した参加者が、個人的な困りごとについて発表します。他の参加者は、発表者の困りごとに類似した経験、その時の対処法についてコメントします。

 

※今後の試行錯誤を通してやり方が変わってくる可能性があります。